誰もいないのに音が聞こえる?
誰もいないのに音が聞こえる?
トラブルやクレームに対応していると、
現場に行った段階では原因や解決策が、
判断できないような「謎」が存在するときがあります。
<謎の音が聞こえる>
先日 対応した案件も見事に「謎解き」という探偵のような対処が必要でした。
鉄筋コンクリート造3階建てマンションの角部屋にお住まいの借主の奥様より、
「外壁を叩くような音が聞こえる」とのクレームが入りました。
すぐに管理スタッフが訪問したところ音は毎日聞こえる訳ではないが、
何の音かわからないのが不気味とのことでした。
換気設備の不具合や水を流した際の配管の音が「叩くような音」に聞こえる事がありますが、
奥様は「機械的な音では無くて誰かが叩くような音なので気になるんです」と言います。
スタッフが「隣の部屋とか下の部屋の入居者さんが叩いているとかでしょうか?」と聞くと、
「隣は空き部屋ですし、真下の人は天井を突くような人では無いですよ」と、
ますます謎が深まります。
<謎解きしてみましたが>
この段階で管理スタッフが原因として考えたのは、排気設備、排水設備、風による、
アンテナの揺れ等の建物の不具合か、あるいは隣接している部屋からの人為的な音でした。
さらに「音が聞こえるのは、風が強い時とか、毎回同じ時間に聞こえるとか、
何か特徴はありますか?」と聞くと、「昨日は夕方の5時くらいに音がした」とのことです。
屋上に誰かいたのかな?と思案していると、
「あっ、そう言えば外壁塗装工事のお知らせが来てましたけど関係ありますか?」
と奥様が声をあげました。
この賃貸マンションではオーナー様が建築会社に外壁塗装工事を依頼していて、
その工事日程が予告されていたのです。
「それですよ!屋上で打診棒を叩いてた音ですよ」とスタッフが謎解きを披露すると、
「そうだったのですね。お騒がせしました」と、その場は一件落着しました。
その報告を受けた私は、いろんな事があるものだと感心していたのですが、
翌日の夕方にまた連絡が入りました。
奥様の「今、音がしてます。屋上に業者さんいないですよ。すぐに来て下さい!」
との悲痛な訴えです。
<原因追及できました>
この謎解きに興味が湧いた私は担当スタッフと一緒に現場に行きましたが、
塗装業者さんの姿は見えませんでした。
そして奥様の部屋に入って耳を澄ましてみると、
確かに連続的に壁を叩くような低い音が聞こえます。
外壁から聞こえるような感じですが屋上でなく下の方から聞こえます。
すぐ2階に降りて真下や斜め下の部屋を確認しましたが不在です。
さらに降りて1階の部屋の玄関前に立ったところ音がハッキリと聞こえました。
ドアに耳を当てるとボールをドリブルしているかのようです。
インターホンを押すと借主のお子さんがバスケットボールを手に持って出てきました。
少年がキョトンとしているので、「いま、バスケットの練習をしてたでしょ?」と聞くと、
「はい、もしかしてうるさかったですか?」と小さな声で答えました。
そして「ごめんなさい、下に部屋がないから大丈夫だと思ってました」と神妙に謝りました。
突然の訪問に驚いた様子でしたが素直そうな中学1年生でした。
「他の部屋に迷惑だからやめようね」と注意を促して、今度は本当に一件落着となりました。
<まとめ>
少年がドリブル練習する時間帯は他の世帯が不在になる午後から夕方なので、
その異変に気づいたのは3階の奥様だけだったのです。
今回は物理的な原因でなく人的トラブルだったので修理の必要も無く、
クレームを言ってきた奥様も、その理由を知って安心していただけました。
賃貸物件には様々な設備や配管がありますので、
音の問題ですぐに答えを見つけるのが容易でないこともあります。
騒音トラブルも いろいろとあるのです。
まずは大家さんや不動産管理会社に相談することをお勧めします。