賃貸住宅の隠れた汚れ部屋の問題とは
今回は「賃貸管理における汚部屋」についてお話しさせて頂きます。
「汚部屋」という言葉を聞くのは初めてかもしれませんが、
敷地からはみ出すほどゴミを溜め込んでいる「ゴミ屋敷」なら、
聞いたことがあるでしょう。
<ゴミ屋敷と汚部屋とは>
「ゴミ屋敷」は外から見ればすぐに分かります。
一戸建ての所有者が原因となっている事が多いので、
近隣住民が騒いで行政から改善要求される事になります。
一方の「汚部屋」は室内で行われていることなので外から見ても分かりません。
しかも「汚部屋」は賃貸物件が現場とされているケースが多いので問題です。
賃貸物件は契約して入居者さんに部屋の鍵を渡した後は、
大家さんも大家さんも、正当な理由なく部屋に立ち入ることができませんので、
知らない間に大切な部屋が「汚部屋」と化しているかもしれないのです。
<汚部屋発覚理由BEST5とは>
実際に「汚部屋」が発覚した理由を多い順に列挙してみました。
第1位は、親御さんや勤務先からの安否確認依頼で発覚。
第2位は、下の階へ漏水したので原因を調べるときに発覚。
第3位は、汚部屋入居者が外出する際に、
偶然に他の居住者が部屋の中を見て通報してくれて発覚。
第4位は、他の居住者から「ゴキブリの発生が増えた」と苦情があり個別に調査して発覚。
最後の第5位は、解約予定日を何度も延期するので確認したところ、
ゴミが片付けられなくて引越できないことが分かり発覚。という具合です。
問題なのは、どの汚部屋入居者も働いていたり学校に通っていたりする普通の人なので、
部屋を見ない限り「汚部屋入居者」だと気が付くことができないという事です。
もし発覚できなければ、さらにゴミが増えて部屋の劣化が進行し、
建物にも住んでいる入居者にも悪い影響を与えてしまいます。
何とか「隠れた汚部屋」があるなら発見したいものですが、
先に挙げたような「変わった兆候」ないと、見つけるのが難しいのが正直なところです。
実際にあった汚部屋ですが、洋室7帖のワンルームアパートで、
天井近くまでゴミが積み上がっていたときがありました。
汚部屋の状況を表す統一された単位はありませんが、
雪国では「積雪何センチ」と言って、その状況を表現しています。
それを真似て「積ゴミ」で大家さんに伝えるようにしていますが、
「積ゴミ200センチ以上」という事件が、今まで経験した汚部屋の最高値でした。
発覚すれば、当然にゴミ撤去を入居者に求めます。
でも、それが出来ないからゴミを溜めていた訳ですので、
専門業者に依頼して撤去してもらうことになります。
見積もりを取ると50万円の金額を提示されましたが、
真面目に仕事をしていた方なので負担することが出来て、無事に業者に撤去をお願いしました。
<まとめ>
さて、「汚部屋入居者」を入居審査の時に見抜くことはできないものでしょうか?
「汚部屋入居者」の特徴は、「夜間照明でゴミのシルエットが映るので、
厚手のカーテンを取り付けている」「入室を意地になって拒む」「窓を開けた事が無い」など、
後になって気が付く共通点はありますが、
入居審査の段階では見抜くことは難しいでしょう。
その点は管理担当として残念ですが、汚部屋は建物の劣化だけで無く、
他の入居者さんが退去する理由にもなってしまいます。
管理担当として大切なのは、少しでも異常な状態を察知できる「観察力」と、
発覚したら迅速に対処する「対応力」だと思います。
そのような責任と能力のある管理会社に依頼することをお勧めします。